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2024年5月10日
再生可能エネルギー開発を後押しする大容量パワーコンディショナー系統連系シミュレーター電源装置開発
当社は、再生可能エネルギーの普及を支えるべく、大容量パワーコンディショナーの系統連系試験に使用する系統シミュレーター電源装置を開発し、2024年3月、国立研究開発法人産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所様(以下、産総研)に納入しました。
この装置は、系統連系※時の事故の模擬や、世界各国の規格適合試験ができるよう設計されており、再生可能エネルギーの普及を支え、より良い社会への前進に貢献するべく様々な課題をクリアし、完成した製品です。
※系統連系とは
電力会社等の商用電力系統に発電設備などを並列することを指します。このことにより、系統への電力の供給が可能になります。系統連系に不具合が生じた場合、電力系統やその他の発電設備に影響を与える可能性があるため、再生可能エネルギーなどの電力を系統に接続する際には重要な技術です。
【納入の経緯】
昨今、経済成長や脱炭素の要求による電力需要の増大により、再生可能エネルギーの利用拡大や効率的なエネルギー使用に向けた取り組みが進み、大規模な再生可能エネルギーの発電が要求されています。
しかしながら、異なる地域や国の規制の違いからなかなか普及が進まず、また、この系統連系を実現するために複雑な試験が必要となることが課題として挙げられています。
このような背景の中、産総研では、再生可能エネルギーで作られた電力を送配電インフラに接続するパワーコンディショナーの試験が可能となるために、民間では難しい大規模な系統連系試験設備を設置されていましたが、今後見込まれるパワーコンディショナーのさらなる大容量化に向けて、シミュレーターの増設をご検討されていました。
当社は、創業以来、電力変換技術を基礎に電源機器とパワー半導体について様々な製品を開発しています。系統連系に関するシミュレーターについては、2011年から再生可能エネルギーの普及に向けて開発・販売を行ってきました。そのような当社の実績が評価され、今回は当社が製作してきた製品より、さらに大容量となるパワーコンディショナー系統連系シミュレーター電源装置の開発に至りました。
【製品特長】
- 当社製のパワー半導体デバイス「SiC-MOSFET」を使用することで小型化を実現
- 低電力損失を実現(変換効率97%)
- 回生・力行により使用電力低減
いずれの特長も「SiC-MOSFET」を採用したことにより実現。
直流模擬電源も同時開発し、SiC-MOSFETの採用により、過去に開発した製品は1MWにつき38平方メートルのスペースを必要としていましたが、今回開発した製品は、1.4MWにつき17平方メートルとなり、3分の1以下まで縮小することに成功しました。
また、電力変換効率は過去に開発した製品が92%であったことに対し、今回開発した製品は97%とさらに向上しました。
【主な用途】
- 規格認定試験施設
- パワーコンディショナーその他電力機器の試験設備
【デザイン】
デザインコンセプト:
connect 2.0(コネクト ニーテンゼロ) つながる/つなげる の進化形。
PCS(パワーコンディショナー)と各模擬試験装置の接続部(connect)を象徴的にあつかったデザイン。
基調色のホワイトとダークグレーの高いコントラストが生み出す力強さが、システムの安定感や信頼性を連想させ、各装置名称を明確にすることで、役割や関係性(connect)を分かりやすくしました。また、レッドラインを引くことで、結びつき、つながりを表現しました。
【開発者の話】
今回、開発スピードを上げるために各部門を超えてプロジェクトを立ち上げスピードアップを図ったことと、自社製品のSiC-MOSFETを用いることで、質の高い製品を短期間で開発することが可能になりました。
また、大容量を実現するため、2.5MVA のACシミュレーターを3台使い、7.5MVAの装置として使用できるようにする必要がありました。系統を模擬するため交流のドッキングとなり、かなり難しい調整となりましたが、当社の通信制御技術を用い、様々な試作を行った結果、このドッキングが可能となりました。
さらに、7.5MVAと大容量のシステムであったため、通常の工場に供給される電力では試験を行うことが難しく、今回開発した製品試験が実際にできる仕組みを、開発・設計・品質保証部門で知恵を出し合って構築を行うことで可能となりました。